東急不動産HDと野村證券が日本初のクライメート/ネイチャー・リンク・ボンドについて語る対談記事のタイトル画像

前編では、野村證券が東急不動産ホールディングス(以下、東急不動産HD)との対話を重ねながら、クライメート/ネイチャー・リンク・ボンドの提案をどのように形にしていったのかをご紹介しました。

 

後編では、東急不動産HD グループ財務部の佐久鈴花さんと、東急不動産 都市事業ユニット 環境計画部 担当部長・環境学博士の高田秀之さんに、東急不動産HDの取り組みについて伺いました。

 

野村證券をパートナーに選んだ理由は何だったのか。そして、「WE ARE GREEN」を掲げる同社が、環境経営を通じてどのような価値を目指しているのか。前編とあわせて読むことで、「日本初のクライメート/ネイチャー・リンク・ボンド」が生まれた背景がより立体的に見えてきます。

東急不動産HDが語る、「野村をパートナーに選んだ理由」

まずは、東急不動産HD グループ財務部の佐久鈴花さんに、今回の発行にあたり野村をパートナーに選んだ理由と、提案を受けて感じたことを伺いました。

顧客目線での情報提供力と、先回りの提案

今回の社債発行にあたり、野村證券をパートナーとして選んだ理由は、顧客目線での情報提供力とスピードです。担当してもらった山口さんのレスポンスは素晴らしく、ネイチャーファイナンスのガイドが策定された際にも、すぐに連絡をくれました。そうした情報をいち早く共有してくれたのは野村だけで、あのメールがなければ、今回の発行は実現していなかったかもしれません。

 

また、常に先を見て当社のことをいろいろと考えた提案をしてくれていて、こちらにはなかった視点や新鮮な気づきも多くありました。

東急不動産ホールディングス グループ財務部
佐久鈴花さん
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東急不動産ホールディングス グループ財務部
佐久鈴花さん

投資家に伝えきれなかった価値を、どう届けるか

東急不動産HDとしては、環境への取り組みはどこにも負けない自負があります。ただ、環境重点課題として挙げている脱炭素社会、生物多様性、循環型社会の3つの取り組みを投資家の皆さまに発信するのは難しく、これまでの社債では脱炭素社会に向けた取り組みがメインとなっていました。今回、生物多様性の取り組みも伝えられたので、次は循環型社会をどう表現していくかが課題です。

 

東急不動産HDの財務のあり方はとてもユニークです。2025年度末にESG債を全体発行額の50%以上にすると掲げ、結果として62%を達成しました。さらに2030年度までには70%以上という目標を掲げ、取り組んでいます。

 

パラオでの開発における「ヤシの木より高い建物は建てるな」という言葉は、東急不動産の初代社長である五島 昇が残したものです。「本当にその土地の人々のためになる仕事」を追求し、環境や地域と共生してきたデベロッパーとしての歴史こそが、東急不動産ホールディングスの環境経営の原点であり、今はその思いをしっかり発信していく段階だと思っています。

 

また、マネタイズ(収益化)という観点でも、この付加価値に共感してくださる方は増えてきています。「WE ARE GREEN」の東急不動産HDとして、これからも投資家の皆さまに響く工夫を続けていきたいですね。

東急不動産HDの「WE ARE GREEN」が目指すもの

最後に、東急不動産HDの環境課題への取り組みとその背景について、東急不動産 都市事業ユニット 環境計画部の担当部長であり、環境学博士でもある高田秀之さんに伺いました。

私たちが目指すのは、生物多様性を通じた街や施設のウェルビーイングの向上です

東急不動産では、渋谷・原宿エリアにある当社の主要12施設で、年4回、生物多様性の調査を続けています。目指しているのは、明治神宮や代々木公園などにある豊かな緑と同様の植生を取り入れ、鳥や昆虫などが行き交う中継基地となり、生息できるエコロジカル・ネットワークです。表参道と明治通りの交差点にある商業施設「オモカド」「ハラカド」は、その象徴的な存在です。あわせて、屋上に設けた「おもはらの森」では、シジュウカラの営巣にも成功しています。

「生き物が住みやすいところは、きっと人間にも心地いい」

東急不動産 都市事業ユニット 環境計画部 
担当部長 環境学博士
高田秀之さん
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東急不動産 都市事業ユニット 環境計画部 
担当部長 環境学博士
高田秀之さん

生き物が住みやすいところは、人間にとっても心地よい、という発想のもと、都市での生物多様性は、テナントのウェルビーイングの向上につながり、将来的な不動産価値や街全体の価値向上にも貢献できると考えています。実際、例えばオフィスビルであれば、緑が多く心地よい空間にすることで、入居テナント企業の従業員の生産性向上や欠勤率の低下、採用活動への貢献につながるといった研究結果も報告されています。そうした観点から、施設の魅力を高めることでテナント企業の満足度が上がれば、賃貸借契約の長期化や将来的な協業にもつながると考えています。

 

また、心地よい商業施設は、集客や売上の向上の後押しにもなりますし、私たちの生物多様性への積極的な取り組みを知っていただき、「東急不動産と何か一緒にやってみたい」と感じる方が増えれば、新たな事業機会にもつながるはずです。こうした取り組みを、テナントやパートナー企業と連携しながら進めていきたいと考えています。

(左)ハラカド (右)オモカド
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(左)ハラカド (右)オモカド