勝つためのプラットフォーム作りをしてきました
Q. まず、鹿野さんの部署の仕事から教えてください。
私のチームはストラクチャリングという、金利や為替、株といったアセットクラスを使ったカスタムメイド商品の組成やソリューションの提供をしています。最近増えているのは、機関投資家様向けにカスタマイズした商品作りで、運用やヘッジのお手伝いをしています。
私が入社した2001年当時の野村は、典型的な日本の会社で単純なビジネスプラットフォームしかありませんでした。当社のソリューションビジネスはリーマン・ブラザーズ事業承継を契機に大きく変化しました。リーマンは、金融ビッグバンで最先端の金融技術が集まるロンドンでも、テクノロジーでは先頭を走っていました。現在の野村にはリーマンのプラットフォームをベースとしたソリューションプラットフォームが複数存在し、外資系証券会社に負けないテクノロジーを持つ唯一の日系証券だと思います。日本での野村は外資系と異なり機関投資家だけでなく個人投資家にもサービスを提供できるので、我々のチームは優位性がある状況です。
Q. チームはどんな構成ですか?
全体で約50人いて、海外拠点のロンドンとシンガポールにもいます。競争力を上げるためにメンバーを集めた結果、チームに多様性が生まれた感じで、メンバーは私がロンドンから戻った2020年以降に機関投資家向けビジネスで外資系に勝てるチームを目指して大幅に編成を見直しました。

ストラクチャード・プロダクト部長 鹿野 洋
覚悟があるかないかで、仕事の成果は大きく変わる
Q. チーム作りで重視しているのは?
重要視するのは「お客様から信頼され、最善のサービスを提供する覚悟を持って仕事をする」ことです。競合である外資系は1、2年で結果を問われる世界なので「覚悟」が違う。もともと能力は同じでも、覚悟なく5年10年過ごしてしまった人はなかなか変われないと思います。逆に、覚悟を持って続けていれば、誰でもそれなりになれる。この考えは、リーマン・ブラザーズ出身のメンバーと仕事をしてより強くなりました。彼らはビジネスを作る意欲が高く、加点主義なので何かやらないと評価されないという考え方。これこそが仕事だなと。
私はチームのみんなにも常に覚悟を持っていてほしいので、「自分の仕事が認められたり昇進したりすることは素晴らしいけれど、それは同時により多くのリスクを取ることを意味するんだよ」と、よく話しています。チームで一番リスクを取っているのは私ですし、この意識は良いチームを保つ上でも重要だと思っています。

チームリーダーはゴールを明確に示すことが必要
Q. 「強くて良いチーム」とは?
私はロンドン駐在が長かったということもあり、サッカーのプレミアリーグが一つの理想形です。チームの勝利を目指して国内にこだわらず世界中からタレントを集めます。でも、強い個人を集めるだけじゃない。チームが勝つためには規律が大事で、どこを目指してどう運営するかを監督が明確にしています。選手も組織もそのゴールのために存在しているのです。
Q. メンバーとのコミュニケーションで大切なのは?
時間があったらみんなのデスクへ行って話す、心に持っていることを聞いてみる。そんなフィジカルな接点を心がけています。チームの定例報告には若い人に来てもらい、そこで何か問いかけることで考えるチャンスを与えるようにしています。

真剣であれば摩擦が起きるのは当たり前
Q. 優秀な人ほど個性も強い場合があります。コンフリクト(対立・摩擦)は大丈夫ですか?
コンフリクトは、あるのが健全で、無い方が危ないと思います。コンフリクトが起きたときは、お互いの意見を聞いて調整するしかありません。真剣に取り組んでいれば摩擦が起きるのは当然で、異なる意見が聞き入れられない環境では覚悟のある人が離れ、主張のない人しか残りません。また、小さなコンフリクトが常に起きていれば大きなことも起きないと思います。目標は一つですから、主張を歓迎するチームでいたいですね。

鹿野 洋 (しかの ひろし)
野村證券 ストラクチャード・プロダクト部長
2001年、野村證券入社後、金融市場部で日本国債トレーダー、ストラクチャラーとして従事。その後、2017年から2022年まで、ノムラ・インターナショナルplc(ロンドン)のクロスボーダーストラクチャリングの責任者を務める。2022年10月より現職。
東京大学工学部にて修士号、HECパリにてMBA取得。