サステナビリティの捉え方
野村グループでは、サステナビリティを「事業活動を通じてお客様や多様なステークホルダーのサステナビリティへの取り組みをサポートすること」、「当社自身がサステナブルな存在であるために環境負荷低減やガバナンスの高度化といった活動を推進していくこと」の2つの観点で捉え、取り組みを進めています。
例えば、脱炭素社会実現の観点からは、企業における脱炭素化に適した事業ポートフォリオ構築等の取り組みをサステナブル・ファイナンスやサステナブル分野のM&Aアドバイザリー等によりサポートしています。これは、私たちがお客様に提供できる価値であると同時に、事業機会でもあります。また、野村グループとして、温室効果ガス排出量のネットゼロ、人権尊重、責任ある投融資の実施等を通じて環境・社会課題の解決にも挑戦しています。これらの取り組みをさらに推し進め、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。
サステナビリティに関して設定している3つのKPI

事業活動を通じたサステナブルな社会の実現への挑戦
金融資本市場の力を使って、お客様や多様なステークホルダーのサステナビリティへの取り組みをサポートすることは、私たちの存在意義そのものです。野村グループの総合力を使って、サステナブルな社会の実現に挑戦していきます。
1.野村グループのサステナブル・ファイナンスの取り組み
2016年に野村総合研究所による国内初の事業会社によるグリーンボンド発行以来、野村グループはサステナブル・ファ
イナンスにおいて多くの案件に取り組み、資本市場を利用した環境・社会への貢献を行っています。2023年度には様々な画期的な取り組み等により、環境省による第5回ESGファイナンス・アワード・ジャパンにおいて金融サービス部門(証券部門)銅賞を受賞しています。グリーン共同発行市場公募地方債や日立製作所グリーン・デジタル・トラック・ボンドは、2023年度の野村の取り組みの一部です。
2.サステナブル分野におけるM&Aアドバイザリーの提供
2020年4月、サステナブル・テクノロジーとインフラストラクチャー分野で強力な存在感をもつ米国のM&Aブティックであるグリーンテック・キャピタル・アドバイザーズを買収し、その後、「グリーンテック・インダストリアルズ&インフラストラクチャー(GII)」というグローバルチームを設立しました。GIIでは、エネルギー、運輸、食品、水資源、廃棄物処理システムなど、基幹インフラの変革を目指すお客様をサポートし、低炭素化やデジタル化、効率化などに取り組む革新的技術をもつ新興企業と既存企業の双方にアドバイスを提供しています。
当社自身による環境課題への挑戦
脱炭素社会の早期実現に向け、2030年度までに当社の拠点で排出する温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「ネットゼロ」の達成、2050年度までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量のネットゼロ達成の2点を目指すことを公表するとともに、その実現に向けたロードマップを2021年9月に策定・公表しています。様々な施策を通じて、ネットゼロ実現への取り組みを加速していきます。
社会への価値提供に向けた挑戦
豊かな社会の実現のためにどのような価値を提供できるか、野村グループはこの問いに真摯に向き合ってきました。社会の一員として、社会への価値提供に挑戦し続けます。
1.金融経済教育
野村グループでは、25年以上にわたり継続してきた金融経済教育の知見と、培ってきたコンサルティング力を活かし、小学生からシニア世代までライフステージに応じた金融経済教育、資産形成のための取り組みを、様々な機会を通じて提供しています。例えば、学校教育現場では、野村グループの社員が講師となって、小・中学生、高校生向けに金融に関する体験型授業(出張授業)の無償実施を、大学生向けには「生きた経済を学びたい」という学生や「社会と連携した実践的な教育の提供」を志向する大学の期待を踏まえ、約90大学に半年間の講義を行っています。


授業の内容についても、小・中学校・高校での出張授業実施後の教員アンケートでは高い評価を得ています。また、小・中学校、公立図書館へ学習用教材の寄贈、無償提供も継続しています。

金融リテラシー向上の機会を広げるためにグループ内での連携にとどまらず、地域金融機関や他業界と連携した取り組みによる金融経済教育の提供に挑戦していきます。
2.社会貢献活動
野村グループでは、企業市民としてより大きな社会的責任を果たすため、グローバルでその地域の特性に応じた様々な取り組みを行っています。
具体的には、「社会の明日のために」、「環境課題解決のために」、「文化の発展のために」という3つの分野を中心に資金的支援のほか、役職員によるボランティア活動等を通じて、社会貢献活動に取り組んでいます。
グローバル共通の社会貢献活動としては、2020年より毎年、健康促進と社会貢献活動への寄付を目的とする「グローバル・チャリティ・チャレンジ」を実施しています。
また、自然災害等が発生した際、全世界の拠点と連携して被災地の状況を確認し、必要に応じて資金的支援や救援物資の調達等を行っています。

3.人権尊重への取り組み
持続可能な社会の実現には人権の尊重が不可欠です。野村グループは事業活動とステークホルダーの行動が人権に与える影響を認識し、その影響を軽減するために、法令や国際基準を尊重した対応を進めることを明記した「人権方針」を2023年5月に策定しました。
この方針は定期的に見直され、サステナビリティ委員会などで審議されます。また、役職員への人権に関する研修の実施、事業活動における負の影響の特定と軽減への取り組みなど、人権尊重責任を果たすことは、社会からの信頼を高め、企業価値向上につながると考えています。野村グループは国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」などに基づき、人権課題の対応や情報開示を引き続き進めていきます。
4.社会的インパクト、イノベーション創出の取り組み
社会の持続的成長にはスタートアップ企業の支援や異業種との連携が重要です。野村グループは、幅広い金融サービスを通じてこれらの企業を支援しています。野村證券は、スタートアップ企業の成長資金調達の新手法J-Shipsを活用し、非上場企業の資金調達をサポートしました。また、農山漁村地域の経営革新を目指した調査及びその成果を紹介する「農山漁村発イノベーション交流会」や、インパクトスタートアップ同士のネットワーキングや学び合いを目指した「Impact Camp」を共催しました。今後もこのようなイノベーション創出の取り組みを通じて、持続可能な社会の実現と当社の持続的成長を目指していきます。
詳しくはNomura Report 2024 (PDF)をご覧ください。
また、併せて野村グループサステナビリティレポート (PDF)もご覧ください。