最大の財産である人材の育成
新たな付加価値に挑み続けるプロフェッショナル集団となるために、育成のための施策を充実させるための取り組みを行っています
多様な人材、価値観が、野村グループの競争力の源泉です。
野村グループでは、最大の財産である人材が付加価値を生み出すという考えのもと、さまざまな取り組みを行っています。60年以上にわたり継続している海外留学制度や、社員個人による自律的なキャリア形成を後押しするための「野村グループ社内公募(ノムラ・キャリア)」等を通じて、社員の成長や新たな挑戦を積極的に支援しています。
さらに、2022年度からは、ベンチャー企業に1年間出向する研修を開始しました。社内公募を経て、出向先でチームメンバーとして貢献しながら、戦略立案やプロジェクト推進、経営管理などのスキルを学び、ベンチャー企業特有のスピード感ある事業展開やイノベーション創出を経験することを目的としています。
2022年度5社、2023年度3社、2024年度4社、業種・分野の異なる企業で、貴重な経験を積ませていただきました。毎回、出向を終えたメンバーから報告を受けていますが、1年前とは全く異なる考え方、外から野村を見たことからの多くの気づきなど、研修の成果とその変化に、正直嬉しい驚きを感じています。この研修を受け入れていただいた企業の皆様には、深く感謝申し上げます。
多様な人材
全員が自分らしく、誇りを持って、わくわく働ける環境の実現に取り組んでいます
現在、野村グループは、約30の国や地域、90に及ぶ国籍を持つ約27,000人が集まるグローバルなチームへと発展してきました。さまざまなバックグラウンドをもつ人材にもてる力を最大限発揮してもらうためには、組織としての受容性(インクルージョン)が大切です。また、フェア(公平)に評価する仕組みづくりも同様に大切だと考えています。グループCEO就任以来、この仕組みづくりと発信に力を入れてきました。
新たな環境の変化に対応するために、多様性は重要です。そして、多様性は野村を強くしてくれると確信しています。野村の伝統である若手の登用に加え、多様なバックグラウンドや高度な専門性をグループの企業価値向上に活かしていきたいと考えています。
グローバルでみるとキャリア採用の比率は70~80%に達しており、非常に高い水準ですが、野村證券だけを見ても、新たに入社する社員の約半数が野村以外での勤務の経験をもっています。採用形態が違っても、育成、評価、登用に違いはありません。昨年の4月に就任したグループの新任役員18名のうち5名が、野村以外でキャリアをスタートした者になります。
もちろん、単に多様な人材がいるというだけで、組織が活性化するわけではありません。多様な価値観、考え方を自然と受け入れることができる組織、全員が自分らしくいられる環境を整えることが、私を含めマネジメントの重要な責務だと認識しています。

多様な働き方
女性の部店長比率は10%を超え、男性の育休取得率も50%を超えました
2024年4月時点で、野村證券の女性部店長比率は、10.2%となり、2025年4月までに10%としていた目標を前倒しで達成することが出来ました。
また、昨年10月から、野村證券において、1カ月以上の育児休業を取得した社員に対して性別を問わず育休取得奨励金を導入しました。同時に、管理職においては、多様性が受容される職場環境の整備や、男性社員の育休取得の推奨、女性社員の能力向上に関する取り組みなどを人事評価に組み込みました。あわせて、全社員に対しても多様性や公平性などの理解推進のための取り組みを評価に反映するようにしています。
その結果、男性の育児休業取得率は2024年3月期下半期には50%となり、同上半期比の3倍に増加しています。メディアでも大きく取り上げられ、お客様からも「野村も変わった」との声をいただきました。
私たちは従業員エンゲージメントについても強く意識しています。この点において最も重要なことは、どれだけコミュニケーションが取れているか、十分納得したうえで業務に向きあうことができているか、だと思っています。
リスク管理・危機管理
リスクカルチャーの醸成・浸透、およびリスク管理体制の高度化の推進は、今後も重要な経営課題の一つです。
リスクマネジメントの高度化を追求するうえで、専門的な計測技術や人員を含む基盤の増強に加え、現場社員一人ひとりの気づきと行動が極めて重要です。すべての役職員が、能動的にリスク管理に取り組むという方針のもと、「三つの防衛線」と呼ぶ重層的なリスク管理体制を設けています。

また、リスクカルチャーの醸成に向けて、2020年から人事評価にERCCレーティング(職業倫理、リスク管理、コンプライアンス及びコンダクト)を日本で導入し、今では全地域、グループ全体に拡大しています。
リスクカルチャーの醸成に向けた取り組みに、終わりはありません。今後も継続的に取り組みを進めていきます。
2023年、RRP(金融機関の再建・破綻処理計画)を含めた当社のレジリエンス全般を統括する部署として「レジリエンス室」を新設しました。
あわせて、効率的なビジネスを営み、リスクに対して適切に備える上でIT戦略およびサイバーセキュリティを含む対応は急務です。金融庁が制定している金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針や、米国立標準技術研究所(NIST)の「Cybersecurity Framework」その他海外のフレームワークを参考にし、情報セキュリティ統括責任者(CISO)の登用など人材面も含め、グループワイドでの包括的な取組みを進めています。
多様性のある取締役会
取締役会は、3分の2が社外取締役、外国人が3分の1、女性が4分の1という多様性に富んだ構成となっています。多様化が進む中で、質の高い議論が活発に行われています
経営目標を達成するうえで、コーポレート・ガバナンスの強化は最重要課題の一つであると認識しています。
当社の取締役会は、2010年から外国籍の社外取締役を迎え、現在、3分の2が社外取締役、外国人が3分の1、女性が4分の1という構成となっています。
2015年からは「社外取締役会議」を設置し、当社の事業およびコーポレート・ガバナンスに関する事項などについて定期的に議論しています。2019年にはガバナンス体制のさらなる高度化に向け3委員会の委員長をすべて社外取締役としています。
社外取締役メンバーのダイバーシティ、多様化が進んだことで、まさに多様性に富んだアドバイスをいただくことができるようになりました。厳しい意見や質問をいただくことも少なくありません。非常に質の高い議論が活発に行われるようになってきており、取締役会の実効性が高まっていることを実感しています。
